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〈CUSTOMIZE(カスタマイズ)〉 税理士との付き合い方とは? 02.ゲストー顧問税理士・会計士 寺尾潔ー
オフィスコンシェルジュ代表取締役・小松延顕が、建設業に特化した知る人ぞ知るお役立ち情報を、各界の有識者に尋ね、動画と記事2本立てでお送りする連載企画〈CUSTOMIZE(カスタマイズ)〉。
第2回目は、第1回目〈資金調達と資金繰りに欠かせない明瞭会計とは?〉のゲストとして登場していただいた寺尾先生に、税理士としての理念、日常の業務の一端をお聞きすることで、最適な税理士との付き合い方について、話を聞いていきます。
「有識者の方々が、提供くださる情報をもとに、各企業様にとって最善の業務統合システムを目指すための〈カスタマイズ〉をご依頼いただくきっかけとなればと思っております。そして〈建設バレーナ〉をより効果的にお使いいただき、皆様の幸せに少しでも繋がれば幸いです。」(小松)
日本政策金融公庫の公式な提携会計事務所として
創業から企業をサポート
ここでは、寺尾先生、並びにI&R総合会計事務所が、どのように企業様をサポートされているのか、伺っていこうと思います。まずは、創業融資を例に、どのようにサポートされているのかお聞かせください。(小松)
寺尾先生我々が、クライアントさんと初めて出会いサポートさせていただく機会を得られるのは、創業されたばかりの会社さんというケースも多いです。その際、当然、創業融資についてサポートさせていただくのですが、現在日本では、公的な制度である日本政策金融公庫さんの創業融資、あるいは民間の金融機関さんを利用する区や市町村の制度融資、つまり、保証協会さんの制度融資、大きく分けるとこの2つがあります。
民間の金融機関さんの創業融資に関しては、審査が非常に厳しいので、簡単には貸してくれない。つまり、実質的には、公的な金融機関を利用するしかありません。
我々は創業以来20数年、常に日本政策金融公庫さんとお付き合いをさせていただいてきた実績を評価していただき、公式な提携先ということで認めていただいております。
したがって、創業融資を受けたいお客様に関しては、必要な借入申込書、創業計画書などの書類の作成のお手伝いはもちろん、弊社から日本政策金融公庫さんに仮審査ということで事前にお申し込みをさせていただき、実際に審査を進めていただきます。その審査の途中で日本政策金融公庫さんから、どのようにすれば、ご希望の融資額に近づけられるのか、あるいは満額の融資をとりつけられるのか、事前にフィードバックいただいた情報もとに調整させていただき、経営者の方に日本政策金融公庫さんの担当者と面談をしていただきます。これによって、皆様がお申し込みされる通常のケースよりも、我々と日本政策金融公庫さんとの信頼関係を踏まえたうえで、つまり、我々の信用度が皆様に乗っかったうえで、創業融資を借りやすくすることが可能となっております。
創業融資を申請された企業様は、寺尾先生にお願いすると、どれくらいの確率で審査が通り、どれくらいの金額を借りることができるのでしょうか?(小松)
寺尾先生我々の成約の実績でいうと、ほぼ皆様融資を受けられているのが現状です。そのうえで、融資の金額をどこまで持っていけるのかが問題になります。創業融資は、借りる金額の最低1/3の資金を持っていなければならないという原則があります。さらに、創業された方のキャリアが前職と同じキャリアであることも評価されるポイントです。したがって一概に金額がどれくらいかと申し上げにくいのですが、弊社実績でいいますと、多い方で1000万、あるいは、評価がものすごく高く、創業融資ではなく、「いきなり通常融資でいきましょう」と日本政策金融公庫さんからご提案いただき、創業時に3000万円の融資を借りれたケースもあります。
そもそも創業融資は、登記してからどれくらいの期間、利用できるのでしょうか?(小松)
寺尾先生2年間の決算の申告までが対象になります。つまり、2年分の決算を申告し、3年目の営業をしており、3年目の決算の申告をするまで利用可能となります。
割と長い期間利用できる制度ですよね。(小松)
寺尾先生創業融資は、アーリーステージの企業が対象となっています。これは、ぜひお金がいらなくても利用されることをお勧めします。ここで、公的金融機関の審査を通過したという実績を得ることが、会社さんの信用実績になりますので、のちに会社が成長して、民間の金融機関とお取引を開始される際に、間違いなく信用力もプラスされ、融資の可能性が高まりますので、可能な限りご利用された方が良いかと思います。
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〈利益を繰延るべき〉という理念のもと
各企業と親密なコミュニケーションを図り
会社の存続をサポート
ありがとうございます。次に、税理士先生といっても、様々な理念をもたれた先生がおられますよね。そこで、寺尾先生は、どのような理念をもとに税理士先生をされているのか。会社が長期的に成長していくために必要なことだと思いますが、将来的に起こりうる売上の波に備える、つまり繰延についてを例にお考えをお聞かせいただきたいです。(小松)
寺尾先生我々は〈繰延るべきだ〉という方針で、常にお話をさせていただいています。これは税理士先生によっても両論分かれるところですが、我々なりに繰延る必要性があると考えております。我々のクライアントさんは、9割以上が黒字の会社さんなのですが、〈繰延るべきだ〉と、常にアドバイスさせていただいています。
繰延が正義であると。(小松)
寺尾先生これは、国の体制がどうなってるのか、ということと連動して考えるべき問題で、例えば、欧米は、今期利益が出た分の税金を全て払ったとしても、その何年後かに赤字になった期があったときに、その何年後か前に支払った税金を戻してくれる、繰戻し還付制度というものがあります。したがって、欧米の企業は将来起こるかもしれない売上げの変動に不安を抱く必要がありません。つまり、節税や繰延る必要がないのですが、日本はこの制度が、あるにはあるのですが、ほとんど利用できません。だからこそ、将来起こりうる利益の変動要因を、会社自らがコントロールしなければなりません。もちろん、今利益が出ていて、ガッツリ税金を払ってしまうのもひとつの経営判断ですが、将来の不確実性の担保として、利益を繰延る、利益の平準化を狙うというのは、至極まっとうな経営判断だと言えるので、我々は利益を繰延ることに意義があると考えています。
繰延るとひとことでいっても色々な方法があるかと思います。いくつか事例をお聞かせください。(小松)
寺尾先生ひとつは、この度のテーマとして話をさせていただいた〈正確な会計処理〉をおこなうことで初めて可能になるのですが、利益を繰延る効果がある処理の仕方があります。
例えば、来期までに渡る工事の費用を先にその期に支払っている、といった前払いのケースなどは、利益を繰延るという観点からすると、一定の条件を整理して、先に支払った時点で経費化することで、当期の利益を圧縮して税金を減らしていくという、至極、合法的な会計処理を通じて繰延る、節税をする方法があります。
次に、金融商品、投資商品を利用する方法があります。こちらは顧問の税理士先生に相談されながらおこなうのが良いかと思います。
代表例でいうと、去年の年始くらいまで多くの企業様が利用されていた生命保険ですよね。(小松)
寺尾先生大原則として、保険による節税を国が認めないということになってしまったのですが、場合によっては会社さんの利益を繰延る効果がある保険商品もあります。これは将来間違いなく支払う税金ですので、決して、脱税ではありません。
保険商品以外ですと、例えば建設業で代表的なのが、足場のように、投資商品によって繰延るといった方法があります。ただ、ここで注意してもらいたいのは、保険は国が守っている制度ですので、必ず返還されるものだという保証があります。しかし、投資であり節税商品には、保証がありませんので、そこは会社さんご自身で税理士先生と相談され判断しなければならず、リスクが伴うこともご認識いただかないとなりません。
なるほど。では、正確な会計処理に基づき、先払いのタイミングに経費として計上する方法での繰延について、こちらは、税理士先生がついていらっしゃっても、このような処理がされていない会社さんも多いのでしょうか?(小松)
寺尾先生税理士さんとの関わり方は様々だと思うので、例えば、顧問の税理士さんと定期的にコミュニケーションをとっているケースもあれば、決算の時、年に1回だけ領収書なり請求書を全て渡して決算を組んでもらうケースも、極論かもしれませんがあります。後者の関わり方ですと、決算が終ってからの処理になりますので、繰延るとか節税を考慮することが難しくなってきます。したがって、税理士さんがついていてもできていない可能性はあるかと思います。
弊社の場合ですと、寺尾先生に定期的に見ていただき、尚且つ目指す方向性を常に共有させていただいてる状態で、それを前提に、次どうするかというお話をしていただけています。もちろんわからない情報なども、その都度必要なものだけを教えていただき、すぐに判断ができ、大変助かっています。もし、建設業の方で、税理士さんと頻繁にコミュニケーションが取れていない、抑えるべきところを抑えられていない、といった方がいらっしゃった場合は、お声がけいただければ寺尾先生にサポートしていただくことも可能なのでしょうか?(小松)
寺尾先生もちろんです。顧問をさせていただくには、コミュニケーションを取らせていただく関係上、距離的な問題で、関東の企業様が理想的だと考えていますが、コロナ渦の中で、我々もズームなりオンラインミーティングが増えているので、全国どこにいらっしゃっても、ご相談いただくことは可能だと思います。例えば、今頼んでいる税理士さんで大丈夫なのか、うちの会社はちゃんとできているのか、といった初見の問題に関して、我々もお話をさせていただきますし、それを踏まえた上で、今の税理士さんに、こういうことをやって欲しいなど、会社さんが、税理士さんや会計事務所に何を頼めばいいのか、など我々にご相談いただければ、セカンドオピニオンとしてお話しさせていただき、いかに今お付き合いのある税理士さんや会計事務所を上手にご利用いただけるか、サポートさせていただくことは可能となります。
それはセカンドオピニオン契約ができるということですか?(小松)
寺尾先生もちろん可能ですが、こういう機会ですのでスポットとしてもご相談いただければ幸いです。
ありがとうございます。もし、皆様が、今日のお話を踏まえ、思い当たるところがございましたら小松宛、もしくは弊社のカスタマーサポート宛にご連絡いただければ、寺尾先生をご紹介させていただきます。寺尾先生、本日はありがとうございました。(小松)
寺尾潔(I&R総合会計事務所の代表公認会計士・税理士)
創業から20年以上、新宿御苑を拠点に、約900社近い中小企業、大手上場企業の顧問を務めるI&R総合会計事務所の代表公認会計士・税理士。従来の手続きや計算だけをおこなう税理士の枠組みに捉われず、「ドラえもん」のようにお客様のご要望になんでも答え、多くの企業、中小企業の貢献ができるということを自身の幸せとするといった理念を掲げ活動する。
- 会社名I&R総合会計事務所
- 代表取締役寺尾潔
- 住所東京都新宿区新宿2-3-10 新宿御苑ビル9階
- 業種会計事務所
- 会社規模
- URLhttps://ir-sogo.com/